相続の知識と学習 ~20のポイント

①★相続税法上の法定相続人★

■民法上の法定相続人 ■

・民法上の法定相続人は、被相続人の権利義務を承継する順位にある者を定めたものです。
・法定相続人となる順位の者が相続放棄をしたときは、相続人でなかったものとみなされます
※ 相続放棄した者の子は代襲相続人とはなりません。
・養子縁組があれば、何人でも法定相続人となることができます。
・各順位者は先順位者がいない場合に限り、法定相続人となることができます。

 

順 位 法定相続人 各順位者の
法定相続分
配偶者の
法定相続分
第1順位 子(直系卑属) 1/2 1/2
第2順位 親(直系尊属) 1/3 2/3
第3順位 兄弟姉妹 1/4 3/4


■相続税法上の法定相続人の数 ■
・相続税法上の法定相続人は、相続税額を確定するための計算要素としての相続人の数です。
・法定相続人となる順位の者が相続放棄をしても、相続税法上は、放棄がないものとされます
・養子縁組があっても、相続税法上の法定相続人の数に算入できる養子は1人(実子がいる場合)か2人(実子がいない場合)までに制限されます。
※ 特別養子(原則6歳未満)、配偶者の連れ子、代襲相続人である養子は実子とみなされます。

■相続税法上の法定相続人の数が適用される計算 ■
① 遺産に係る基礎控除
⇒ 5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)
※ 平成27年以降に開始する相続では、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)に引き下げられます。

② 生命保険金、死亡退職金の非課税限度額
⇒ 500万円×法定相続人の数
※ 相続放棄をした者は、非課税限度額の計算には含めますが、非課税規定の適用はありません。

③ 相続税の総額を計算する際の各法定相続人の法定相続分
⇒ 相続放棄の有無や、実際の遺産取得額にかかわらず、法定相続人が法定相続分どおりに遺産を取得したものと仮定して計算します。

■相続放棄があった場合の取扱い例 ■



・民法上の法定相続人:配偶者(2/3)、母(1/3)
・相続税法上の法定相続人:配偶者(1/2)、子A(1/4)、子B(1/4)
・遺産に係る基礎控除額:5,000万円+(1,000万円×3人)=8,000万円
・生命保険金、死亡退職金の非課税限度額:500万円×3人=1,500万円
※ 子A、子Bは相続人ではないため、非課税規定の適用は受けられません。

 

②★代襲要因★

■代襲相続 ■

・代襲相続とは、被相続人の子や兄弟姉妹が下記の代襲要因により相続権を失っている場合に、その者の子が代わりに相続人となることをいいます。

① 死亡 被相続人の相続開始以前に死亡している場合
② 欠格 相続人の欠格事由に該当している場合
③ 廃除 被相続人の請求により、相続人から廃除することが家庭裁判所で認められた場合

※ 相続放棄は代襲要因とはなりませんので、放棄者の子に代襲相続は認められません。

■相続人の欠格事由(民法第891条)■
次のいずれかの事由に該当する者は、手続きの必要なく、相続権を失います。
① 故意に被相続人や相続権のある者を死亡させ(未遂を含みます)たため、罰せられた者
② 被相続人の殺害を知りながら、告発等をしなかった者
※ 是非の理解ができない者、殺害者の配偶者や直系血族である者は除きます。
③ 詐欺や強迫によって、被相続人の遺言行為(作成、撤回、変更等の行為)を妨害した者
④ 詐欺や強迫によって、被相続人に遺言行為(作成、撤回、変更等の行為)をさせた者
⑤ 被相続人の遺言書の偽造、変造、破棄、隠匿をした者

■相続人の廃除(民法第892~894条)■
・廃除とは、被相続人の意思で相続人から除外されることをいいます。廃除される者には下記の要件が必要です。
① 遺留分を有する推定相続人であること。
※ 遺留分とは兄弟姉妹以外の相続人に認められた最低限保証される相続分をいいます。
② 被相続人を虐待したり、重大な侮辱をしたり、その他の著しい非行があること。
③ 被相続人が生前にまたは遺言で家庭裁判所に廃除の請求をすること。
・被相続人はいつでも家庭裁判所に廃除の取消しの請求をすることができます。
・廃除の取消しの請求は遺言で行うことも可能です。
※ 廃除の請求や取消しを遺言で行う場合、遺言執行者が家庭裁判所で手続きをします。

■代襲相続人となる者の範囲 ■
・子(直系卑属)の代襲は、孫、ひ孫へと続きます。(再代襲あり)
兄弟姉妹の代襲は甥、姪までです。(再代襲なし)
・代襲相続人の相続分は、代襲される者が相続するはずであった相続分です。
・代襲相続人が複数いる場合は均等に分けます。
(例)下記の場合、長男の代襲相続人として孫Aと孫Bが長男の相続分を相続できます。
長女は相続放棄により初めから相続人でなかったものとみなされますので、孫Cに代襲相続は発生しません。

③★相続の放棄★

■相続が発生したときの選択 ■

・相続が発生した場合、民法上の法定相続人となる順位にある者は、単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかを選択しなければなりません。

  選択の内容
単純承認 被相続人の財産、債務を相続分に応じて一括承継すること
限定承認 被相続人の財産の範囲内で債務や遺贈の義務を果たすこと
相続放棄 被相続人の財産、債務を一切承継しないこと

・選択期限は、原則として相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内です。
※ 遺産の調査に特に時間を要する等の事情があり、相続開始から3ヵ月以内の選択が困難な場合には、家庭裁判所に選択期間の延長の手続きを取ることができます。
・いったん選択した後は、相続開始から3ヵ月以内の期間であっても原則として撤回できません。

■相続承認・放棄の選択手続き ■
・単純承認、限定承認、相続放棄の選択手続きは下記の方法によることで法的な効力が生じます。

  手続きの方法
単純承認 手続きは不要(相続開始を知った時から3ヵ月経過で自動承認)
・限定承認、相続放棄後であっても、遺産の隠ぺい等の事実があるときは、
単純承認とみなされる。
限定承認 ・相続開始を知った時から3ヵ月以内に家庭裁判所に申述する。
・共同相続人全員による申述でなければならない。
相続放棄 ・相続開始を知った時から3ヵ月以内に家庭裁判所に申述する。
・相続開始前に相続放棄の手続きはできない。(放棄の約束も無効)
・放棄をしたい者が単独で手続きをする。(他の相続人の同意は不要)


■法的に有効な相続放棄をしていない場合の留意点 ■
・遺産分割協議の結果、何も財産を取得しなかった場合であっても、家庭裁判所で相続放棄の手続きをしていなければ、相続放棄をしたことにはなりません。
・法的に有効な相続放棄をしていない場合、財産を相続していなくても、被相続人の債務を法定相続割合で承継することになります。(債権者から債務の履行を求められる)
・遺産分割協議で債務の負担者を決定したとしても、相続人間でのみ有効な取り決めであり、債権者の承認がなければ、債権者への効力はありません。

■法的に有効な相続放棄をしている場合の留意点 ■
・相続放棄した者は最初から相続人でなかった(存在しない)ものとみなされますので、同順位の相続人がいない場合は、次の順位の者が相続人となります。
(例)第1順位である子が相続放棄した場合、第2順位である母が相続人となります。
被相続人の配偶者は義母と遺産分割協議をすることになります。

④★贈与の成立と撤回★

■贈与の成立(民法549条)■

・贈与とは、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思表示をし、相手方が受諾することによって成立する契約のことをいいます。
・贈与者、受贈者の合意で成立するため、書面によらない口約束でも贈与契約は成立します。

《 書面によらない贈与の例 》
贈与者A:「私が所有するすべての絵画を無償で差し上げます。」
受贈者B:「もらいます。」

■書面によらない贈与の撤回(民法550条)■
・書面によらない贈与(口約束)は、どちら側からでも撤回することができます。
※ すでに贈与の履行が終わった部分については、撤回する(贈与者に返す)必要はありません。

《 書面によらない贈与の撤回例 》
上記例で贈与者Aが絵画を1点贈与したところで気が変わり、贈与を撤回すると主張した場合
⇒ 受贈者Bは、すでに受け取った絵画を返す必要はありませんが、贈与者Aは残りの絵画の贈与の履行をしなくてもよいということになります。

■死因贈与(民法554条)■
・死因贈与は贈与者と受贈者双方の合意に基づく契約です。(遺贈は遺言者の一方的な行為)
・贈与者の死亡によって効力が発生する贈与は、遺贈(遺言による財産分与)に関する規定が準用されます。
・死因贈与や遺贈は、死者からの財産の無償移転として相続税の課税対象となります。

《 死因贈与契約の例 》
贈与者A:「私が死亡したときは、○○市△△番地の土地300㎡をBに贈与します。」
受贈者B:「上記Aの申出に同意します。」
※ 贈与者の死亡後に贈与契約を履行するため、書面によらなければ履行ができません

■夫婦間の契約の取消し(民法754条)■
・夫婦間の契約は、婚姻中、いつでも夫婦の一方から取り消すことができます。
・夫婦間の契約の取消しであっても、第三者の権利を害することはできません。

《 夫婦間の契約の例 》
夫が妻に「純金を買ってプレゼントします。」と約束し、妻が了承した場合
⇒ 夫妻は、いつでもどちらからでもこの約束を破棄できます。
※ 妻がプレゼントされた純金を第三者に既に転売しているときは、夫婦間で贈与契約を破棄したことを理由に、購入した第三者に純金の返却を求めることはできません。

■財産贈与の税法上の取扱い ■

贈与者 受贈者 税 目 備 考
不 問 法 人 法人税 時価で益金算入
法 人 個 人 所得税 一時所得、給与所得等に該当
個人(生存者) 個 人 贈与税 生前贈与が対象
個人(死亡者) 個 人 相続税

相続、遺贈、死因贈与が対象

 

⑤★寄与分権利者の相続分★

■寄与分 ■

・共同相続人のうち、被相続人の財産の増加や維持に特別の寄与をした者がいるときは、その寄与分は遺産分割の対象から除外し、寄与分がある相続人の相続分に加算します。
① 寄与分がある相続人の相続分
=(相続開始時の遺産の額-寄与分)×法定相続割合+寄与分
② 寄与分がない相続人の相続分
=(相続開始時の遺産の額-寄与分)×法定相続割合
・寄与分が認められるのは、相続人だけです。
・相続人以外の者が特別な寄与をしたとしても寄与分を主張することはできません。
※ 被相続人の息子の妻などの特別な寄与は、相続人である息子の寄与分として認められる可能性もあります。
・代襲相続人は、被代襲者の寄与分及び代襲相続人自身の寄与分を主張することができます。



配偶者の相続分:(1億円-2,000万円)×1/2=4,000万円
子Aの相続分:(1億円-2,000万円)×1/2+2,000万円=6,000万円
※ 妹Bは相続人ではありませんので、寄与分の計算の対象とはなりません。

◎ 実務上のポイント
上記例のように被相続人が親の家業を引き継ぎ、妹も実家の家業を手伝っている場合、妹は相続人ではありませんので、被相続人の財産の増加にどんなに貢献したとしても、被相続人の遺産を相続できません。妹に相当な対価の支払いができていないときは、遺言書で対処することも考慮すべきです。相続人から妹への財産分与もできますが、贈与税の課税対象となることに注意が必要です。

■寄与の内容 ■
・寄与の内容は、被相続人の事業へ労務の提供や財産の支出をしたり、被相続人の療養看護をしたりすることです。
・親族間の相互扶助の範囲を超えて、被相続人の財産を増加させたり、減少を食い止めたりする程度の特別な寄与でなければ、寄与分としては認められません。

(例)無給に近い状態での農業や事業への従事、無償での借金の肩代わり、仕事を辞職して看護に専念、療養看護のための付添婦等に係る費用を捻出、など。

■寄与分の協議がまとまらない場合 ■
・相続人間の遺産分割協議において、寄与分に関する協議がまとまらなかった場合や協議自体ができない場合には、寄与分を主張する相続人は、家庭裁判所に判断を求めることができます。
・家庭裁判所は、寄与があったとされる時期、寄与の方法や程度、遺産の額など一切の事情を考慮して寄与分を決定します。
※ 遺産分割協議が不調の場合の調停手続きの中で、寄与分の主張を行うことができます。

 

⑥★遺言の効力★

■遺言をすることができる者 ■

 遺言ができる者は、民法で定められています。(民法960~963、973、975条)
・15歳以上の者は、遺言をする能力があれば、遺言をすることができます。
※ 民法に定められた方式に従った遺言でなければ、有効な遺言とはなりません。
・15歳以上であれば、未成年者でも単独で遺言ができます。(親権者の承認は不要)
成年被後見人の遺言は、医師2人以上の立会いのもとで、判断力が回復した状態でなされた遺言であると証明されたものでなければなりません
・被保佐人、被補助人も、単独で遺言をすることができます。
・遺言をする能力の有無は、遺言をした時の能力で判定します。
・遺言は、2人以上の者が共同ですることはできません。

■遺言することができる事項 ■
 遺言で効力が認められるものは、民法で定められており、民法で定められていない事項については、法的な効力はありません。

① 身分関係の遺言可能事項(民法781、839、848条)
・子を認知すること。
・親権者が未成年の子の未成年後見人を指定すること。
・未成年後見人を指定した親権者が、未成年後見監督人を指定すること。
※ 未成年後見監督人とは、未成年後見人の職務を監督する者であり、未成年後見人を指定した者が任意で指定できます。

② 財産関係の遺言可能事項(民法964、902、893、894、908、1006条)
・包括遺贈や特定遺贈により、財産を遺贈すること。
・相続人の相続分を民法上の相続分と異なる割合に指定すること。
・相続人の相続分を民法上の相続分と異なる割合に定めることを第三者に委託すること。
・虐待や著しい非行などの問題のある者を推定相続人から廃除すること。
・推定相続人の廃除の取消しを請求すること。
・遺産の分割方法の指定や、遺産分割の禁止(5年以内)をすること。
・遺言執行者を指定すること。

■遺言の効力の発生(民法985、994、995条)■
・遺言の効力は、遺言者の死亡時にさかのぼって発生します。
・停止条件付の遺贈の条件が遺言者の死亡後に成就したときは、その成就した時から効力が発生します
◎ 停止条件と解除条件(民法127条)
・停止条件とは、定めた条件が成就した時に効力が発生することをいいます。
・解除条件とは、定めた条件が成就した時に効力が消滅することをいいます。

(停止条件付の遺言例)孫Aが大学に進学した時に、甲株式全株を与える。
⇒ 孫Aが大学に進学するという条件が成就した時に、甲株式を取得する権利が発生します。
⇒ 孫Aが大学に進学しなかった場合、遺言者が遺言で特に指示をしていなければ、孫Aが遺贈されるはずであった甲株式は、相続人の遺産分割の対象となります。(孫Aが大学進学前に死亡している場合も、特に指示がなければ、遺産分割の対象となります。)

 

⑦★遺留分割合★

■遺留分 ■

・遺留分とは、遺産のうち遺留分を有する相続人のために最低限確保される相続分として民法で定められた割合のことをいいます。
・遺留分を有する相続人は、遺留分を侵害する遺贈や生前贈与があった場合には、減殺請求をする権利があります。
・遺留分の減殺請求権は、相続の開始および遺留分の侵害行為があった時から1年、または相続開始の時から10年で時効となります。

■遺留分権利者と遺留分割合 ■
・遺留分の権利を有する相続人は、兄弟姉妹(代襲相続人も含みます。)を除く相続人です。
⇒ 具体的には配偶者、子(代襲相続人を含みます。)、親(直系尊属)です。
・相続欠格、廃除、相続放棄により相続人でなくなった者には、遺留分はありません。
・直系卑属の代襲相続人は、遺留分を有します。
※ 遺留分を放棄した者の代襲相続人には、遺留分はありません。

■総体的遺留分の割合 ■

相続人の状況 総体的遺留分
直系尊属のみが相続人 全体の3分の1
その他の場合 全体の2分の1


■各人の遺留分割合 ■
各人の遺留分割合=民法上の法定相続分×総体的遺留分の割合
(例)法定相続人が配偶者、子A、子Bの場合の遺留分
⇒ 総体的遺留分:1/2
各相続人の遺留分は、
配偶者:1/2×1/2=1/4
子 A:1/2×1/4=1/8
子 B:1/2×1/4=1/8

■遺留分算定の基礎となる財産 ■

相続開始時の遺産(A) 相続開始時の債務の額(C)
加算する
贈与財産
(B)
①相続開始前1年以内の贈与財産
②相続人への特別受益(時期は不問) 遺留分算定の基礎となる財産
(A)+(B)-(C)
③遺留分侵害を承知でなされた贈与
(時期は不問)

※ 特別受益とは、相続人へ婚姻・養子縁組・生計の資本として贈与された財産のことです。
※ 遺留分の侵害を承知でなされた贈与とは、たとえば相続開始直前に財産の大半を贈与するなど、贈与者、受贈者の双方が贈与時において、この贈与を実行した場合、他の相続人の取得分が極端に少なくなることを予見できるような状態にあることをいいます。
(例)相続開始時の遺産:1億円、債務:△2,000万円、相続人への特別受益:3,000万円
の場合の遺留分算定の基礎となる財産の額
⇒ 1億円+3,000万円-2,000万円=1億1,000万円

 

⑧★みなし贈与財産★

■贈与税の課税対象となる財産 ■

・個人からの生前贈与により、本来の贈与財産またはみなし贈与財産を取得した個人には、贈与税が課されます。

① 本来の贈与財産
・本来の贈与財産とは、贈与者から受贈者へ直接財産を贈与されたものをいいます。
・預貯金、株式、不動産等の有形資産、信託受益権等の無形資産その他の経済的な価値のあるものすべてが該当します。

② みなし贈与財産
・贈与者の行為により、結果として受贈者が享受した利益相当額が贈与とみなされます。

■みなし贈与財産となる生命保険金 ■
・死亡保険金を受け取った場合において、保険料負担者(生存者)が受取人以外の者であるときは、保険料負担者から受取人への贈与とみなされます。

《 死亡保険金の課税関係 》

保険料
負担者
被保険者
(死亡者)
受取人 受取人に
課される税
備 考
A B A 所得税・住民税 一時所得
A C B 贈与税 みなし贈与財産
A A B 相続税 みなし相続(遺贈)財産


■みなし贈与財産となる低額譲受 ■
・著しく低い価額の対価による財産の譲渡があった場合、譲渡価額と譲渡時における財産の価額との差額相当額は、譲渡した者から譲受人への贈与とみなされます。
※ 不特定多数の流通市場における安売りは、贈与税の課税対象とはなりません。
・譲渡資産が土地等や建物であるときは、譲渡財産の価額は相続税評価額によらず、通常の取引価額で計算します。
・譲受人が資力を喪失して債務弁済が困難である場合において、その弁済に充てるために譲受人の扶養義務者(注)からなされた低額譲受であるときは、その弁済が困難な部分の金額については、贈与とはみなされません。

贈与とみなさ
れる金額
=
通常の取引価額(土地建物等)
相続税評価額(その他の財産)
-
譲渡対価の額

(注)扶養義務者とは、配偶者、直系血族、兄弟姉妹、家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族、生計を一にする三親等内の親族が該当します。

■みなし贈与財産となる債務免除等 ■
・債務の支払いを免除されたこと等により、債務の全部または一部の支払をしなくてよいこととなった場合には、その免除された金額は、免除した者から債務者への贈与とみなされます。
・債務者が資力を喪失して債務弁済が困難であるために、債務免除された場合や、債務者の扶養義務者(注)に債務を弁済してもらった場合には、その弁済が困難な部分の金額については、贈与とはみなされません。

 

⑨★生前贈与加算★

■贈与税と相続税の関係 ■

・贈与税とは、相続税を回避するための財産の生前贈与に対し税を課すことで、相続税を補完する役目を果たすものです。
・相続税法では、一定の財産の生前贈与については、贈与財産を贈与時の価額で相続税の課税価格に加算し、支払った贈与税は、相続税から控除する仕組みとなっています。

■生前贈与加算の対象となる贈与 ■
・相続税の課税価格に加算される贈与に関する取扱いのまとめは下表のとおりです。

  暦年課税贈与 相続時精算課税贈与
贈与税の計算法 (年間贈与額-110万円) ×累進税率 (年間贈与額-累計2,500万円20%
生前贈与加算の
対象となる贈与
遺産を取得した者の相続開始前3年以内
の被相続人からの贈与
特定贈与者である被相続人からのすべて
の贈与
債務控除 債務控除できない 債務控除できる
物 納 物納できる 物納できない
小規模宅地等
の特例
適用できない 適用できない


■暦年課税の生前贈与加算 ■
・次の①及び②の要件を満たした暦年課税贈与は、相続税の生前贈与加算の対象となります。
① 受贈者は、被相続人からの相続または遺贈により、遺産を取得した者であること。
② 相続開始前3年以内の被相続人からの贈与であること。
・相続開始前3年以内とは、相続開始の日からさかのぼって3年目の応当日から相続開始の日までの間です。

(例)平成25年12月18日に相続開始の場合
⇒ 平成22年12月18日~平成25年12月18日までの期間の贈与が生前贈与加算の対象となります。

■生前贈与加算された財産からの債務控除 ■
・相続税の課税価格の計算上、暦年課税贈与の生前贈与加算財産からの債務控除はできません







① 取得財産の価額  
② 相続時精算課税適用財産の価額  
③ 債務及び葬式費用の額  
④ 純資産価額(①+②-③) (赤字のときは0)
⑤ 暦年課税分の贈与財産の価額 ※ ④で赤字は切捨てられ、⑤からの控除は不可
⑥ 課税価格(④+⑤) (1,000円未満切捨て)


■生前贈与加算された財産の小規模宅地等の特例の不適用 ■
・被相続人等の居住用や事業用に供されていた宅地等を、要件を満たす者が取得した場合、一定の面積までについては、評価額を80%(または50%)減とすることができる特例です。
・生前贈与された宅地等については、相続税の課税価格に加算される場合であっても、小規模宅地等の特例が適用できません。(措置法通達69の4-1)

 

⑩★店舗兼住宅の持分贈与★

■贈与税の配偶者控除 ■

婚姻期間が20年以上である配偶者に国内にある居住用不動産やその取得のための金銭を贈与したときは、贈与税の課税価格から最高2,000万円が控除されます。
・同一の配偶者間において適用できるのは1回限りです。
・贈与の翌年3月15日までに受贈者の居住の用に供し、その後も引き続き居住する見込みでなければなりません。
・贈与税額が算出されなくても、戸籍謄(抄)本、不動産登記事項証明書などの必要書類を添付した贈与税の申告書または更正の請求書を提出する必要があります。

■店舗兼住宅敷地の居住用部分の判定 ■
・店舗兼住宅の居住用部分の判定は、まず家屋の居住用床面積から居住用割合を算出し、敷地のうち、居住用と店舗用の併用となっている部分には、家屋の居住用割合を乗じます。
・敷地の居住用部分=専ら居住用の敷地面積+(併用面積×家屋の居住用割合)
・居住用割合がおおむね90%以上であるときは、全体を居住用とすることが認められます。

■店舗兼住宅の持分贈与 ■
・店舗兼住宅の持分贈与の場合の居住用部分の判定は、下記の原則計算か特例計算のいずれかで計算します。

① 原則計算
居住用割合×贈与割合

② 特例計算
贈与割合と居住用割合のうち、いずれか少ない割合

(例)住居割合:1/2、店舗割合:1/2の店舗兼住宅の持分の1/3を贈与した場合の居住用贈与部分の計算



⇒ 特例計算では、住居から優先して贈与されたものとしますので、原則計算より配偶者控除の適用額が大きくなり、有利であるといえます。

■居住用不動産以外の財産も取得した場合 ■
・贈与金銭で居住用不動産以外の財産も取得した場合には、まず居住用不動産の取得に充てられたものとして取扱うことができます。

(例)配偶者からの贈与金銭:1,500万円、自己資金:500万円で
自宅の新築:1,800万円、新車の購入:200万円に充てた場合の贈与税の配偶者控除
⇒ 1,500万円は、まず自宅の新築に充てられたものとしますので、贈与税の配偶者控除は1,500万円となります。

 

⑪★相続時精算課税選択後の状況変化★

■相続時精算課税を選択した場合の精算の流れ ■

① 相続時精算課税を選択
・贈与者 ⇒ 贈与年の1月1日時点で65歳※以上の親(特定贈与者といいます。)
※ 平成27年以降は60歳以上に引き下げられます。
※ 住宅取得等資金の贈与の場合は、年齢制限はありません。(平成26年までの措置)
・受贈者 ⇒ 贈与年の1月1日時点で20歳以上の子(推定相続人である直系卑属)
※ 平成27年以降は、孫も対象となります。(推定相続人である必要はありません。)

② 特定贈与者からの贈与があった年
・贈与税の申告書を提出し、特別控除額(累計2,500万円)を超えた贈与額に一律20%の贈与税の納付をします。

③ 特定贈与者に相続が発生した場合
・特定贈与者からの贈与財産は、すべて贈与時の価額で相続税の課税価格に加算します。
・算出相続税額から、納付済みの相続時精算課税に係る贈与税額を控除して精算します。
・相続時精算課税に係る贈与税額の相続税額から控除しきれない金額は還付されます。

■養子が相続時精算課税を選択した場合 ■
・養子は、養子縁組により特定贈与者の推定相続人となった時以後の贈与について、相続時精算課税を適用することができます。
・相続時精算課税を適用していた養子が、その後、離縁したことにより、特定贈与者の推定相続人でなくなった場合においても、引き続き相続時精算課税が適用されます。



■相続時精算課税を適用していた受贈者が先に死亡した場合 ■
・受贈者が、特定贈与者よりも先に死亡したときは、その相続時精算課税に関する権利や義務は、受贈者の相続人が承継します。
※ 特定贈与者が受贈者の相続人であるときは、その特定贈与者は、受贈者の相続時精算課税に関する権利や義務は承継しません。
・特定贈与者の相続開始時に、先に死亡した受贈者の相続人は、受贈者に係る相続時精算課税の精算をします。

■受贈者が相続放棄をした場合 ■
・受贈者が、特定贈与者の相続について相続放棄をした場合であっても、相続時精算課税による贈与財産は、遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税価格に算入されます。
※ 相続時精算課税は、受贈者が養子縁組の解消、相続放棄をしても、相続税で精算することになりますが、特定贈与者の遺産が相続時精算課税の贈与財産を含めて基礎控除額以下であれば、相続税の申告の義務はありません。(還付のための申告書を提出することはできます。)

 

⑫★住宅取得等資金の贈与★

■直系尊属からの住宅取得等資金の贈与 ■

・父母や祖父母などの直系尊属から住宅用家屋の新築、取得、増改築等の対価に充てるための資金を贈与された場合には、一定の金額までは贈与税が非課税となる特例があります。
・暦年課税、相続時精算課税のどちらでも適用できます。
贈与税が非課税とされた金額は、相続税の課税価格にも加算されません。

《 非課税限度額 》

住宅の種類 ・ 贈与年  平成25年 平成26年
一般住宅
(東日本大震災の場合)
700万円
(1,000万円)
500万円
(1,000万円)
省エネ等住宅
(東日本大震災の場合)
1,200万円
(1,500万円)
1,000万円
(1,500万円)


《 受贈者要件 》
① 贈与年の1月1日において20歳以上で合計所得金額が2,000万円以下であること。
② 贈与時に無制限納税義務者で贈与者の直系卑属であること。
③ 贈与年の翌年3月15日までに贈与資金で住宅用家屋の新築、取得、増改築等をし、対象家屋に居住、または居住が確実と見込まれること。(贈与年の翌年末までの居住が要件)
④ 親族等の特別な関係者との取引でないこと。
⑤ 旧非課税制度の適用を受けていないこと。

■住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例 ■
・一定の要件を満たす住宅の新築、取得、増改築等に充てるための住宅取得等資金の贈与の場合、相続時精算課税の贈与者の年齢制限(65歳以上)がなくなります。(平成26年末まで)
・受贈者は、贈与年の1月1日において20歳以上の推定相続人である直系卑属です。
※ 平成27年以降は、受贈者の範囲に(推定相続人でない者を含みます。)が追加されます。

■住宅取得等資金を贈与された場合の贈与税の計算 ■
① 暦年課税贈与のみの場合
{(年間暦年贈与合計額-非課税限度額)-(基礎控除額110万円)}×贈与税率

② 相続時精算課税のみの場合
{(年間相続時精算課税贈与合計額-非課税限度額)-(特別控除額2,500万円)}×20%

③ 暦年課税贈与と相続時精算課税がある場合
上記①+②の合計額

(例)平成26年中に父から住宅取得等金1,000万円(一般住宅を取得)を贈与された場合
① 暦年課税贈与で申告した場合
⇒ {(1,000万円-500万円)-110万円}×20%-25万円=53万円
② 相続時精算課税を初めて選択して申告した場合
⇒ {(1,000万円-500万円)-500万円}=0円

◎ 実務上のポイント
暦年課税では、納税額が発生しますが、相続時精算課税のほうが必ず有利であるとは限りません。生前贈与加算の対象となるかどうか、相続が開始した場合の課される税率などの観点からの検証が必要です。

 

⑬★死亡退職金★

■みなし相続(遺贈)財産に該当する死亡退職金等 ■

・被相続人の死亡により、被相続人に支給されるべきであった退職手当金等のうち、死亡後3年以内に支給が確定したものは、みなし相続(遺贈)財産として相続税の課税対象となります。
・退職手当金等とは、退職手当金、功労金、その他これらに準ずる給与をいいます。
 ※ 相続開始時に支給時期が到来していない未払給与などは、本来の相続財産となります

退職手当金等の支給確定時期 受取人 課税上の取扱い
死亡退職:死亡後3年以内に支給が確定
生前退職:支給額が死亡後3年以内に確定
相続人 みなし相続財産(相続税)
※ 非課税規定あり
相続人以外の者 みなし遺贈財産(相続税)
3年を超えて支給が確定 相続人等 一時所得(所得税)


■退職手当金等に該当する弔慰金 ■
・被相続人の勤務先から弔慰金の名目で支払われた金額がある場合には、弔慰金の非課税とされる部分を超える金額が退職手当金等に該当します。

死亡原因 弔慰金の非課税部分 退職手当金等に該当する金額
業務上の死亡 普通給与の3年分 弔慰金の額-普通給与の3年分
業務上以外の死亡 普通給与の半年分 弔慰金の額-普通給与の半年分

※ 特別法上の弔慰金(遺族補償給付、埋葬料等)の給付を受けている場合には、上記非課税部分の金額と特別法上の弔慰金の額とのいずれか大きい金額が非課税とされます。
※ 普通給与とは、賞与以外の給与(諸手当を含みます。)をいいます。

■退職手当金等の非課税規定 ■
・相続人が取得した死亡退職金等については、退職手当金等の非課税規定が適用できます。
非課税限度額:500万円×法定相続人の数※
※ 相続放棄した者も含み、普通養子の数は1人まで(実子がない場合は2人まで)算入します。
・相続放棄した者は、退職手当金等の非課税規定の適用はできません。
・退職手当金等には、弔慰金のうち、弔慰金の非課税部分を超える金額が含まれます。
・相続人が取得した退職手当金等の合計額が、退職手当金等の非課税限度額を超える場合には、各相続人の非課税適用額は、各相続人が取得した退職手当金等の額の比で按分計算します。

  各相続人が取得した退職手当金等の金額
非課税限度額 ×  
  相続人全員が取得した退職手当金等の合計額


《 計算手順のまとめ 》
① 退職手当金等に該当する金額の計算
⇒ 死亡後3年以内に確定した退職手当金等+(弔慰金-弔慰金の非課税部分)

② 退職手当金等の非課税額の計算
⇒ 500万円×法定相続人の数(相続人が複数いるときは、非課税額を按分計算)

③ 各人の相続税の課税価格に算入される金額の計算
⇒ 相続人の場合:(退職手当金等の額-退職手当金等の非課税額)
相続人でない場合:退職手当金等の額

 

⑭★相続税の総額の計算★

■相続税の計算のしくみ ■

相続税の計算は、相続税の総額を確定(相続放棄、実際の遺産の取得状況は考慮しない)し、その確定した相続税の総額に実際の遺産の取得割合に応じて相続税額を配分するしくみとなっています。

■相続税の総額 ■
相続税の総額は、下記①⇒②⇒③の順に計算していきます。
① 各人の課税価格の計算
・各人の課税価格=(相続や遺贈による取得財産の価額+相続時精算課税適用財産の価額-債務・葬式費用)+相続開始前3年以内の贈与財産の価額

② 課税遺産総額の計算
・課税遺産総額=各人の課税価格(①)の合計額-遺産に係る基礎控除額
・遺産に係る基礎控除額:5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
※ 平成27年以降の基礎控除額:3,000万円+600万円×法定相続人の数に改正されます。

③ 相続税の総額の計算
・各人の相続税額=課税遺産総額(②)×各人の法定相続分×相続税率
・相続税の総額=各人の相続税額の合計額
※ 平成27年以降の相続税率表は、最高税率が55%になる等の税率構造が改正されます。

■法定相続人の留意点 ■
相続税の総額を計算する場合の法定相続人には、下記の留意点があります。
① 相続放棄者がいる場合
・相続放棄があっても、なかったものとして、法定相続人の数や、法定相続分を計算します。

② 代襲相続人がいる場合
・相続人となるべき者が相続開始以前の死亡、欠格、廃除により相続権を失っているときは、その者の子で被相続人の直系卑属が代襲相続人として被代襲者の相続分を承継します。
・代襲相続人が複数いるときは、被代襲者の相続分を均分承継します。
※ 相続放棄は、はじめから相続人でなかったものとみなされ、代襲相続は発生しません。

③ 普通養子がいる場合
・相続人が普通養子である場合、法定相続人に算入できる普通養子の数は、制限があります。
・被相続人に実子がいない場合:2人まで
・被相続人に実子がいる場合 :1人まで
※ 特別養子、配偶者の実子で被相続人の養子となった者、代襲相続人でもある養子は、実子とみなされますので、法定相続人の数に制限なく算入できます。

■民法上の相続分 ■

順 位 法定相続人 各順位者の
法定相続分
配偶者の
法定相続分
第1順位 子(直系卑属) 1/2 1/2
第2順位 親(直系尊属) 1/3 2/3
第3順位 兄弟姉妹 1/4 3/4

⑮★未成年者控除★

■未成年者控除 ■

・相続または遺贈により財産を取得した者のうちに未成年者があるときは、その未成年者に係る相続税額から、20歳までの1年につき6万円を控除することになっています。
・未成年者に係る相続税額とは、相続税額の2割加算、贈与税額控除、配偶者の相続税額軽減の適用後の金額をいいます。

未成年者控除額=(20歳-相続開始時の年齢)×6万円

※ 年齢の端数は切り捨てます。
(例)18歳6ヵ月 ⇒ 18歳
(20歳-18歳)×6万円=12万円
※ 平成27年以降の未成年者控除は、6万円⇒10万円へと引き上げられます。
(例)上記例で平成27年以降に開始した相続の場合
(20歳-18歳)×10万円=20万円

■未成年者控除が適用される3つの要件 ■
① 無制限納税義務者であること。

無制限納税義務者の種類 財産を取得した者の財産取得時の状況
居住無制限納税義務者 国内に居住
非居住無制限納税義務者 国外に居住、かつ、日本国籍で被相続人または財産取得者が
相続開始前5年以内に日本に居住したことがある場合
国外に居住、かつ、外国籍で国内に居住する被相続人から国外
にある財産を取得した場合(平成25年4月以降)

※ 制限納税義務者であっても、被相続人が米国籍または米国居住であるときは、日米相続税条約により、一定の手続きを要件に、未成年者控除の適用が受けられます。

② 法定相続人であること。
・未成年者が相続放棄をした場合であっても、遺贈により取得した財産があれば、未成年者控除が適用されます。
・未成年者が普通養子の場合であっても、法定相続人の数に算入できる養子の数のような人数制限はありません。

③ 20歳未満の者であること。

■未成年者の扶養義務者に係る相続税額からの未成年者控除 ■
・未成年者に係る相続税額から未成年者控除額を控除した結果、控除額に余りが出たときは、その金額は、その未成年者の扶養義務者の相続税額(同じ被相続人からの遺産によるものに限ります。)から控除することができます。
※ 扶養義務者とは、配偶者、直系血族、兄弟姉妹、生計を一にする三親等内の親族、家庭裁判所の審判により扶養義務者となった三親等内の親族をいいます。

■未成年者控除を過去に受けている場合の未成年者控除額 ■
・未成年者控除の適用を受けたことがある者が未成年者控除を受ける場合には、2回目以降の控除額は、最初に控除を受けた金額の控除額の余りの部分に限られることになります。

 

⑯★居住用不動産の評価★

■自宅敷地の評価 ■

・宅地は、国税局長が地域ごとに定めた方式(倍率方式か路線価方式)により、評価します。
・宅地等とは、宅地および借地権(宅地を賃貸で利用する権利)をいいます。

① 自宅敷地が倍率地域にある場合の相続税評価額
固定資産税評価額×評価倍率表の倍率
※ 自宅敷地が借地である場合は、①の評価額×借地権割合で評価します。

② 自宅敷地が路線価地域にある場合
路線価×奥行価格補正率等の各種補正率×地積(㎡)
※ 路線価図では、路線ごとに1㎡あたりの価額(単位:千円)、借地権割合(90%~30%を10%ごとにA~Gのアルファベットで表示)が確認できます。

(例)300㎡の自宅敷地の評価額(奥行価格補正率:1.0)



※ 100は、1㎡あたりの価額が100千円、Cは借地権割合が70%を表しています。

■自宅建物の評価 ■
・建物の評価=固定資産税評価額×1.0
※ 自宅が借家の場合、借家権(建物の相続税評価額×30%×賃借割合)が権利金等の名称で取引される慣行のない地域にあるときは、財産評価をしません。

■自宅敷地の小規模宅地等の特例 ■
・自宅敷地が特定居住用宅地等の要件を満たしたときは、240㎡までの部分につき、評価額を80%減額することができます。
・減額される金額=減額前評価額×240㎡/自宅敷地面積(㎡)×80%
※ 特定居住用宅地等の適用面積は、330㎡に拡大されます。(平成27年以降開始の相続)

(例)自宅敷地面積:400㎡、減額前の相続税評価額:3千万円の場合の減額される金額
平成26年まで ⇒ 3千万円×240㎡/400㎡×80%=1,440万円
平成27年以降 ⇒ 3千万円×330㎡/400㎡×80%=1,980万円

《 特定居住用宅地等の主な要件 》
① 相続開始の直前において被相続人または被相続人と生計を一にする親族の居住の用に供されていた宅地等であること。(※被相続人と生計を一にする親族間で無償貸付けとされているものに限ります。)
② 相続または遺贈による取得であること。(※ 生前贈与による取得は対象となりません。)
③ その宅地等の取得者が配偶者の場合は、無条件で特定居住用宅地等の対象となります。
④ その宅地等の取得者が生計を一にする親族の場合は、相続税の申告期限までの居住継続、所有継続が要件となります。

《 特定居住用宅地等の改正事項[平成25年度税制改正] 》
① 平成26年以降に開始する相続
・構造上区分されている1棟の2世帯住宅に被相続人とその親族が各独立部分に居住しているときは、その敷地全体を被相続人の居住の用に供されていた宅地等として、要件を満たす者が取得すれば評価減の対象となります。(従来は被相続人の居住部分だけが対象)
・被相続人が終身利用権付の老人ホームに入所し、自宅が空き家となった場合においても、介護が必要なための入所であり、かつ、自宅建物を貸付等の用途に供していないときは、その居住しなくなった自宅敷地も被相続人の居住の用に供されていた宅地等とし、要件を満たす者が取得すれば、評価減の対象となります。

② 平成27年以降に開始する相続
・特定居住用宅地等の適用面積が330㎡に拡大されます。
・特定居住用宅地等(330㎡)と特定事業用宅地等(400㎡)が、限度面積の調整をすることなく、それぞれ限度額まで適用できることになります。
※ 貸付事業用宅地等を併用するときは、従来通り限度面積の調整計算が必要です。

 

⑰★貸家建付地の評価

■2つの路線に面する宅地の自用地評価額 ■



評価額={(正面路線価※×奥行価格補正率)+(側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率)}×地積(㎡) ※ 正面路線は、(路線価×奥行価格補正率)が最も高い路線です。
={(150千円×1.0)+(100千円×1.0×0.03※)}×100㎡
=15,300千円  (※ 準角地の場合は、0.02を乗じます。)

《正面と裏面で路線に接している土地》


評価額={(正面路線価×奥行価格補正率)+(裏面路線価×奥行価格補正率×二方路線影響加算率)}×地積(㎡)
={(150千円×1.0)+(100千円×1.0×0.02)}×100㎡=15,200千円

■貸家建付地の評価 ■
・貸家建付地とは、地主が所有する貸家の敷地となっている土地をいいます。
・建物を賃貸しますと、借家人の権利は土地の利用権にも及びます。
・貸家建付地の相続税評価額
自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)



・集合住宅の1棟の建物のうち、課税時期において空室がある場合、継続的に賃貸の用に供されており、一時的に空室であったと認められるときは、賃貸部分に含めることができます。

 

⑱★相続税の税務調査対策★

■相続税の申告義務 ■

・相続、遺贈、相続時精算課税の贈与により財産を取得した各人の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額を超える場合において、配偶者の税額軽減の適用がないものとして計算した結果、納付すべき相続税額が算出された者は、相続税の申告義務があります。
・相続税の納税義務がある者が申告をしなかった場合には、課税庁の調査により相続税額の決定処分とともに、無申告加算税、延滞税を課されることになります。
小規模宅地等の特例、特定計画山林の特例の適用を受けることにより、納付すべき相続税額が0円となる者であっても、相続税の申告書の提出が必要です。
※ 配偶者の相続税額軽減は、更正の請求書でも適用できます。

■相続税の申告書の提出期限 ■
① 原則申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内です。
(例)平成25年12月12日に相続開始を知った場合の申告期限
⇒ 平成26年10月12日(12日は日曜、13日は祝日であるため、14日が申告期限となります。)
② 出国する場合①の期間内に納税管理人の届出をせずに出国するときは、出国の日まで。
③ 申告義務者が死亡の場合申告義務者の相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内。
④ 相続財産法人からの財産分与分与があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内。
・相続税の申告書の提出先は、被相続人の死亡当時の住所を所轄する税務署長です。
遺産が未分割であっても、民法に定める相続分で相続したものとして申告義務があります。

■名義預金と相続税調査 ■
・被相続人でない者の名義となっている預金であっても、実質の所有者が被相続人であると認められるものは、相続財産に含まれます。

《 被相続人が実質の所有者であると認定される要因 》
・印鑑、通帳を被相続人が保管している。
・名義人が自由に使用、管理していない。
・名義人に贈与した証拠がない。
・名義人が預金の存在を知らない。


・相続税の調査対象となった場合、親族名義の口座も含めて過去数年分にさかのぼって金銭の移動がチェックされます。
・相続開始直前の多額の預金の引出しがあれば、その移動先、使途、残額が現金として遺産に計上されているか等が確認されます。

相続開始年の暦年課税贈与の取扱い
被相続人から
の遺産の取得
取得あり 相続税の課税価格へ算入(贈与税は非課税)
取得なし 贈与税の課税価格へ算入


■贈与の立証 ■
・親族名義預金が被相続人から名義人への贈与財産であると主張するには、下記の事実の証拠が最低限必要です。
① 印鑑、通帳を名義人本人が所有、管理し、自由に使用収益していること。
② 贈与税の申告書を提出し、控えを保管していること。

 

⑲★自社株式の買取り★

■自社株式を発行会社に譲渡した場合の所得税等の課税 ■

① 原則(みなし配当課税)
・譲渡収入金額が資本持分を超える部分は、配当所得とみなされます。
譲渡収入(A)-資本等の金額×譲渡者の持分(B)=配当所得
※ 非上場株式の配当所得は、総合課税(累進課税)が適用されます。
・資本持分が取得価額を超える部分は、株式譲渡所得とされます。
資本等の金額×譲渡者の持分(B)-譲渡者の取得価額(C)=譲渡所得
※ 非上場株式の譲渡所得は、申告分離課税(所得税15%、住民税5%)が適用されます。



② 相続財産である非上場株式を発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例
・下記の全要件を満たす場合には、みなし配当部分も株式譲渡所得(分離課税)とされます。
(1)譲渡株式は、相続または遺贈により個人が取得した非上場株式であること。
※ 平成27年以降は、相続または遺贈により取得したとみなされた株式(相続時精算課税による贈与株式など)も対象となります。
(2)相続税の課税価格に算入された非上場株式であること。
(3)その相続または遺贈に係る相続税額があること。
(4)相続開始の翌日~相続税の申告期限の翌日以後3年以内の譲渡であること。

■相続財産を譲渡した場合の譲渡所得の取得費の特例 ■
・下記の全要件を満たす財産を譲渡した場合には、その財産に係る相続税額のうち一定の算式により計算した金額を譲渡資産の取得費に加算することができます。
(1)相続または遺贈により取得した財産であること。
(2)相続税の課税価格に算入された財産であること。
(3)相続開始の翌日~相続税の申告期限の翌日以後3年以内の譲渡であること。

■相続財産となった自社株式の売渡請求に関する会社法の規定 ■
・株式会社は、相続財産として相続人等に承継された自社株式(譲渡制限株式に限ります。以下同じ。)があるときは、その自社株式の売渡請求ができる旨を定款に定め、株主総会で売渡しの決議をすることで、その相続人等に対し、自社株式の売渡請求をすることができます。
⇒ 会社にとって好ましくない者が株式を所有することを回避することができます。
⇒ 株式所有よりも現金が必要な相続人の要望に応えることができます。
・自社株式の売渡請求の売買価格は、売主(相続人等)と会社との協議で決定します。
※ 譲渡制限株式とは、株式の譲渡取得について、発行会社の承認が必要な株式をいいます。
※ 売買価格の協議が調わない場合には、売渡請求があった日から20日以内に裁判所に対し、売買価格の決定の申立てをすることができます。

 

⑳★事業承継税制

■事業承継税制 ■

・事業承継税制とは、非上場の中小企業の後継者が自社株式を贈与や相続または遺贈により承継するときに、一定額の贈与税や相続税の納税が猶予される特例です。
・平成25年度税制改正で適用要件が緩和されたことにより、利用しやすくなりました。

■非上場株式の納税猶予制度の概要 ■

  贈与税の納税猶予 相続税の納税猶予
特例対象株式 以前からの所有分も含めて議決権総数の2/3まで
猶予対象税額 特例対象株式の100%
(贈与者の死亡の日まで)
特例対象株式の80%
(後継者の死亡の日まで)
適用要件 ・事前に経済産業大臣の確認をとること。(注1)
・贈与、相続開始時に経済産業大臣の認定を受けること。
承継会社要件 ・中小企業経営円滑化法に定める非上場の中小企業であること。
・性風俗会社、資産保有型会社、資産運用型会社でないこと。
・休眠会社でないこと。(総収入金額が0または従業員が0)
先代経営者要件 ・贈与時に役員を退任すること。(注2)  
・会社の代表者であったこと。
・議決権の過半数を有する同族株主の筆頭株主であったこと。
後継者要件 ・役員を3年以上継続していること。  
・先代経営者の親族であること。(注3)
・議決権の過半数を有する同族株主の筆頭株主であること。
・会社の代表者であること。
経営承継後
5年以内の期間
・雇用の8割を毎年維持すること。(注4)
・後継者は会社の株式を継続保有し、代表者でいること。
・承継会社要件を満たしていること。
経済産業大臣へ年次報告、所轄税務署へ継続届出書を毎年提出。
経営承継後
5年を経過後
・後継者は会社の株式を継続保有していること。
・承継会社要件を満たしていること。
所轄税務署へ継続届出書を3年毎に提出。

(注1)平成25年4月以降は、事前確認を受けなくても、適用を受けられます。
(注2)平成27年以降は、代表者を退任していればよいことになります。
※ 先代経営者が有給の役員として会社に残っていても、適用を受けられます。
(注3)平成27年以降は、親族以外の者が後継者であっても、適用を受けられます。
(注4)平成27年以降は、5年間平均で雇用の8割以上を満たせばよいことになります。

《 平成27年以降のその他の要件緩和の改正事項 》
・納税猶予額を納付する場合の利子税率が0.9%(現行2.1%)へと引き下げられます。
・承継後5年経過後の民事再生等の事業再生の場合も、納税猶予額が一部免除されます。
・相続税の猶予税額の計算で、後継者の債務控除は、株式以外の相続財産から控除します。

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